hiromathのブログ

趣味数学をのんびりと。

有理数のお話。

どうもhiromathです。

某私立高校で非常勤講師をしている私ですが、高校1年生の数学Iを担当していまして。 1学期の真ん中くらいに、“実数”という単元があり、まぁそこを教えてて思ったことがいくつかあるので、それについて。 言いたいことといえば、高校の数学の教科書ってあなどっちゃいけないねということです。

まず、 整数とは、  \cdots , -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3, \cdotsという、ざっくりいえば小数点以下がないきりのよい数であり、特に正(0より大)の整数を自然数と呼んだりします。(様々な流派もありますが、ここでは自然数に0を含まないとします。)

特に、数学に精通している人は、しばしば、

 \mathbb{Z} \mbox{:整数全体の集合}
 \mathbb{N} \mbox{:自然数全体の集合}

とそれぞれ表したりします。ここではこのように表そうと思います。

そして、本題の有理数とは、

 \mbox{2つの整数}m, n (\mbox{ただし}m\neq 0) \mbox{を用いて, } \dfrac{n}{m} \mbox{と表せる数}

のことを言います。また、先ほどと同様に有理数全体の集合を \mathbb{Q}と表します。

まぁここら辺は、もしかしたら数学のことあんまり知らなくても聞いたことある人が多いと思います。

高校の教科書には、次のように書かれています。

有理数は、整数、有限小数循環小数のいずれかになることが知られている。

私が高校生の時、ここら辺はあまり深く考えたことない(ほぼ当たり前だと思ってたのだろうか)のですが、教える立場になって思いました。

高校生レベルの知識で証明できるのか…

ということが気になったので、私なりに証明をしてみたのですが、パッと思いついた方法はなかなかにめんどくさい感じなので、後々追記とかで書くかもしれません。 (現段階の私の実力では、この証明が一番しっくりきてます。)

まず、整数または有限小数ならば、有理数はほぼ自明なので省略。循環小数ならば有理数を示したいと思います。


【証明】まず、循環小数 p (特に p \in(0, 1)としても一般性を失わない)を、 10進法表記で、

 p=0.a_1 a_2 \cdots a_n a_1 a_2 \cdots a_n a_1 \cdots \tag{1}

と表せるとする(ただし n \in \mathbb{N})。このとき、

  10^n×p=a_1 a_2 \cdots a_n . a_1 a_2 \cdots a_n a_1 \cdots \tag{2}

これより、 (2)-(1)より、

 (10^n-1)p=a_1 a_2 \cdots a_n
 \therefore \displaystyle p=\dfrac{a_1 a_2 \cdots a_n}{10^n-1}

ここで、

 a_1 a_2 \cdots a_n,10^{n} -1
はともに整数だから、 p有理数である。(証明終)


上の証明は実際、具体的な循環小数有理数に直す時と同様の手順ですよね。循環している数の個数だけ小数点をずらして引くという、大変初等的な考えに基づいた証明かなと思います。

後は以上の逆、有理数ならば 整数、有限小数循環小数のいずれかになることを示していきますが、ちょっと長くなってきたのでここらでおしまい。 次回には証明終わるでしょうかね。