hiromathのブログ

趣味数学をのんびりと。

有理数のお話。その2

どうもhiromathです。

前回、高校の教科書に書いてある

有理数は整数、有限小数循環小数のいずれかになることが知られている

という文章を確かめるべく、この同値性を調べている途中でした。

前回の記事はこちら↓↓

有理数のお話。 - hiromathのブログ

そして、今回は有理数ならば整数、有限小数循環小数のいずれかであることを示していきます。 ですが、整数は有理数の一部であるので、以下、整数でない有理数について考えることにします。

さて、本題の前に、いくつか準備が必要です。まず、次の命題を用意しておきましょう。

 \mbox{有理数}\displaystyle \ p=\dfrac{n}{m} \mbox{が有限小数になるならば, 整数} m \mbox{は, }
 \displaystyle2 \mbox{と}5 \mbox{以外の素因数を持たない.}

これに関しては、経験的にも直感的にも明らかだと思います。


【証明】有限小数  p (前回同様、 p\in (0, 1) としても一般性を失わない)を、 10進法表記で

 \displaystyle p=0.a_1 a_2 \cdots a_n

と表せるとする。このとき、

 \displaystyle p=\dfrac{a_1 a_2 \cdots a_n}{10^n}

と表せる。ここで、 a_1 a_2 \cdots a_nは整数であるから、 pを出来るところまで約分したときの分母は 10^{n} の約数である。 よって、 p 2 5以外に素因数を持たない。(証明終)


実はこの命題の逆も正しいです。つまり、有理数の分母を素因数分解したとき、 2と5のみ現れるとき、有限小数になるということにもなります。ということで、現段階で、次のことが言えたことになります。

 \displaystyle p=\dfrac{n}{m} に対して, m=2^{a}×5^{b}  \ ならば \  pは有限小数

つまり、これからは、分母に2と5以外の素因数が含まれたらどうなるかについて考えていきます。

先ほどの命題の対偶を取ると、次のようになります。

 \displaystyle 有理数 \ p=\dfrac{n}{m}に対し,mが2,5以外の素因数を
 \displaystyle 持つならば, pは無限小数である.

この事実は、実はとっても大事だったりします。その前にもう一つ、準備があります。

 \displaystyle n \in \mathbb{N} に対して,  a(n):=11 \cdots 1 (1が n 個並んで
 \displaystyle いる数)と定める. このとき, 10と互いに素な整数qに
 \displaystyle 対し, a(n_0)が q で割り切れるような n_0 が存在する.

この命題は、鳩の巣論法という、少し特殊な方法で証明します。(鳩の巣論法についてはここではちゃんと説明しません。)


【証明】 q 10と互いに素な整数とする。このとき、

 \displaystyle a(1), a(2), \cdots ,a(q+1)

の中で、それらを qで割った余りが等しい2つの組が、少なくとも1組存在する。それらを a(k), a(l) (ただし k < l ) とする。このとき、

 \displaystyle a(l)-a(k)=10^{k}×a(l-k)

であることと、 a(l)-a(k) q の倍数であることから、ある定数 Mがあって、

 \displaystyle 10^{k}×a(l-k)=q M

と表せる。ここで、 q 10^{k}と互いに素だから a(l-k) qの倍数。 (証明終)


これでようやく準備万端! 無限小数かつ有理数ならば、循環小数であるを示していきます。

ですが、長くなったので次回に。 意外と記事にすると長くなっちゃいますね。